郵政解散といわれ国民の真意を問う、国民投票の様相を呈してきた郵政民営化について、東京13区より出馬予定の鴨下一郎前衆議院議員に聞いてみた。
鴨下一郎前衆議院議員は「郵政民営化は小さな政府という少子化時代に必要不可欠な改革」と言いきる。兎角、騒音の多い中、いわゆる「賛成派」である鴨下一郎前衆議院議員の忌憚のない本音を聞いて欲しい。
→聞き手/宮脇睦(有限会社アズモード代表)
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→郵政解散と呼ばれていますが?
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小泉構造改革のまさしく「本丸」が、郵政民営化ですからその「本丸」を国民世論に問うのは当たり前のことですよね。
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→当たり前というと?
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私達、代議士は民意という世論の代弁者なんです。それが、当選したら何やっても良いというのはオカシイということなんです。
小泉総理大臣になってから、私達自民党は一貫して、構造改革・郵政民営化を掲げて選挙をしてきたんですから。
ただ・・・そこは、永田町の論理と言われる不可思議なところで変わってしまう。
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→そこで世論に直接問う「解散→選挙」に。
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私達は誰の期待を背負って国会議事堂に行っているのか?ということです。
少なくとも私は国民のためです。その国民の声を聞くのには選挙が一番なんです。
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→民主党や反対派の中には急ぎすぎだと批判もありますが。
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野党の中にはイロイロ仰られる方もいらっしゃいますが、賛成だけど反対だとか、急ぎすぎだという意見がありますが「先送り」してきた結果、「失われた10年」が生まれたわけですし、玉虫色の「絶妙なバランス」で「先送り」する時代は終わったということです。
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→マーケットは支持しているようですね。
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「郵政解散」により、小泉首相の力強いメッセージを受けた市場は長らく超えられなかった12,000円(日経平均)の壁をあっさり超えたのが良い証拠です。
※例年、夏場は海外投資家がバカンスにはいるため、株式市場は低調になる傾向があり、夏枯れと呼ばれています。
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→それでは郵政民営化することが日本の明るい未来につながると。
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「郵政」の民営化は単純に郵便局を民間企業にするだけではないんです。
そこには「官から民へ」、そして「小さな政府」を実現するためには必要不可欠なんです。
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→小さな政府?といいますと。
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メディアでは識者達が盛んに使いますが、今一つ理解されていませんよね。
これは私達、政権与党の自民党としても反省しなければなりません。
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→いえいえ。ただ、分かりやすく説明していただけると助かりますが。
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分かりました。
大雑把に言えば各地方自治体・・・例えば、足立区などを単位として、地方にできることは地方の実状に合わせて自由にやって貰う替わりに、政府・・・霞ヶ関と言った方が分かりやすいですか?で、霞ヶ関でなければできない仕事だけを受け持ちましょうというのが小さな政府です。
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→それでは「大きな政府」とは?
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これはその逆で、地方地方の特性や事情もソコソコに霞ヶ関で一括して管理していこうという方法です。
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→「大きな政府」は悪いんですか?
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(笑)善悪二元論で語ってはイケマセンよ。どちらも一長一短があるのです。
文明開化以降、欧米列強に追いつけ追い越せ、敗戦からは復興を目指して、市場も経済も拡大・肥大化する時は、全国一律の方がメリットがあったので大きな政府が有効でした。
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→それでは今は?
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なんでもバブル崩壊のせいにしちゃいけないんですが、あれ以降、拡大・肥大化・右肩上がりというのは永遠に続かないことを私達は学びました。
しかし、、それでも人は経験からしかモノを判断できませんから、それ以前の常識に捕らわれて「失われた10年」となってしまったのです。
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→それ以前の常識とは?
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まぁ肥大化や拡大化のことで土地神話なんかその際たるものですから、バブル崩壊後も「いつかはまた・・・」と塩漬けにされた土地が経済を苦しめた面があります。そして、ある意味最大の誤算はこのころから言われていたものなんです。
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→最大の誤算とは穏やかではないですがなんでしょうか?
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ズバリ「人口減少」です。
日本の人口は2007年、あと2年後から人口が減っていきます。
そして「労働力人口」に至っては、もう既に減ってきているのです。
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→確かに人口減少は前から言われてきていましたね。
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そうなんです。
ところが、郵政民営化でも民主党を初めとする「反対派」の多くは、急ぎすぎるとかもっとじっくりと・・・言った結果が今なんです。
公社にしてあと2年という様子を見てから「考えよう」という「反対派」の意見がありますが、2年後に民営化しようと言うのではなく2年後に考えようですよ。
2年後には人口がもう減り始めて、今まで日本を支えてきた団塊の世代が大量に「引退」して「労働力人口」も「人口」も下り坂に入ってから「考えよう」というのです。
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→人口減社会に立ち向かうために必要なことは?
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そこで「小さな政府」の登場なんです。
地方にできることは地方に、民間にできることは民間に、政府がやらなければならないことは政府が。ということなんです。
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→それは「大きな政府」では無理なんですか?
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地方のことも全国一律の基準で政府が見ると言うことは・・・何が必要になります?
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→逆質問ですね(笑)。・・・とりあえず、人がいりますかね?
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そうです!霞ヶ関から九州の奄美諸島の心配をして、同時に北海道の釧路湖の心配をして面倒を見るにはそれだけ多くの「公務員」が必要になります。
「公務員」の給料はどこからでますか?
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→税金・・・というわけですか。
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大きな政府は時代によっては必要です。しかし、これだけ社会が成熟して、更に人口が減っていき、同時に「税収」が減っていく社会で果たして公務員がそんなに沢山いるのか?という選択を今回の「郵政解散」では問うているんです。
今の仕組みのままで、労働力人口=つまり税金を納める人が減れば、方法は二つしかありません。
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→その二つの方法とは?
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沢山払える人にもっと払わせるか、沢山払えない人にも沢山払って貰うかです。
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→つまり、増税ということですか。
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そうですね。モチロン、他にも「お金を使わない方法」を考えなければイケマセンが、やはり構造的に見直さない限り根本的には解決できません。
だから小泉首相の言う「構造改革」なのです。
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→もし、「構造改革」に失敗したら?
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(笑)考えたくもないですが、悲劇的でしょうね。
まず、世界的に日本のマーケットが信頼されなくなります。
世界の先進国は自浄作用のない市場は未開の地として信用しませんからね。
それに子や孫の世代に背負いきれないぐらいの負の遺産を残してしまいます。
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→負の遺産とは?
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平たく言うと「借金」です。
しかし、子や孫に責任をなすりつけて良いのでしょうか?
私達日本人の文化・伝統にそぐわないと私は考えます。
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→しかし、小さな政府が日本に馴染むでしょうか?
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(笑)日本は、ついこの間まで「小さな政府」だったじゃないですか。
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→え?でも、文明開化の頃からと先ほど・・・。
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その前の、江戸時代ですよ。
幕藩体制は完璧ではないにしても「小さな政府」です。
当時は藩という単位の下にも、集落や村々といった単位で、小さな行政が成り立っていたんですよ。
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→でも、時代劇なんかだと農民が虐げられてますが?
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全部が嘘だとはいいませんが、あれはそうしないとドラマにならないからです。
「豪農」といった話しは日本全国で聞く話しですし、役人の替わりに優秀な農民が代行した話しも沢山ありますよ。
それにもっと砕いて言うと「小さな政府」というの、ご近所さん達の助け合いの精神に国がお願いしているということなんです。
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→助け合いの精神?
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大きな政府は公園に花壇を作るときにもブルドーザーとショベルカーを呼んできて作るようなものですが、小さな政府ではご近所さんに集まって貰ってスコップを100本提供するようなやり方です。
ブルドーザーとショベルカーならラクでしょうが、その分沢山のお金がかかって、日本全国どこにでも同じものが出きる状態です。
しかし、例えばその地域の住民にスコップとタネを配るやり方なら、足立区でも青井町に合った、竹の塚に合ったといったその土地の住民が本当に望んでいる花壇を作れるのです。但し、協力もしてくださいね。と。
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→地域にあった自分たちの花壇を作るのが「小さな政府」と。
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そうなんです。
日本は小さいと言いますが、その地域ごとにそれぞれの良さがありそれを活かして、尚かつ子供や孫が笑って、希望を持って暮らせる日本にしようよってことなんです。
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→素晴らしい!でも、それなのに何故、実現しないのですか?
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・・・人は変化を嫌うんですよ。「チーズは何処へ消えた」という本が数年前に大ベストセラーになりましたが、あの本の中でも変化を怖れる様がありありと描かれていたように、変化することは勇気が必要で恐いものなんです。
でも・・・それじゃぁダメなんです。
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→その変化が郵政民営化と。
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そうですが、勘違いしないでくださいね。
民営化すればすべて薔薇色という訳ではありませんよ。
しかし、民営化という変化も受け入れられないようでは・・・ということなんです。
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→そこが今、私達国民に問われていると。
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大きな政府で行くのを選ぶのか、小さな政府を選ぶのかは国民の皆さんです。
そして、地方の郵便局がなくなるというのはナンセンスな話しです。
それは民間企業を見ていれば分かるんじゃないですか?
ヤマト運輸や佐川急便が、「これ遠いから運ばない」って言いませんよね?
金融にしてもコンビニ銀行が始まったとき、既存の業界は失敗するって見てましたが、IYバンクは予定より早く黒字化したじゃないですか?
ただ・・・
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→ただ、何か?
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都心の一等地にある郵便局はなくなるかも知れません。あんな一等地にあってももったいないですから(笑)
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鴨下一郎前衆議院議員の郵政民営化インタビュー
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